確かに「管理・監督者」は労働基準法の労働時間に関する規定が適用されませんが、管理・監督者とは労働時間の自由裁量、労働条件の決定その他経営者と一体的立場にあるものをいい、名称だけで判断できません。管理・監督者であるか否かは職務内容、責任と権限、勤務態様など実態に基づいて判断しなければなりません。少なくとも出退勤の自由がない人に対し、適用除外を理由に割増賃金を支払わないのは労働基準法違反です。 また、管理・監督者でも夜10時~朝5時の深夜に働いた場合は割増賃金を支払わなければなりませんし、健康を確保するためにも、使用者は適正な労働時間管理を行う責任があります。
※「管理・監督者」については、都市銀行等で男子行員の多数に「支店長代理」の肩書きを与え、労働時間制の規制の枠外の扱いをする事例が多発したことから、各支店の「支店長」以外の行員は、部長、次長、課長等の役付者を含め管理監督者として扱うことは違法という特別の監督基準が出されている(昭52.2.28 基発104号の2)。
裁判でも銀行の「支店長代理」で出退勤の自由がなく、経営方針の決定への参画や労働者の雇入、解雇等の人事管理に関する権限をもたない者は管理監督者ではないとされた判決(静岡銀行事件、静岡地裁昭53.3.28)や、「取締工場長」の肩書きで1日11時間ないし12時間拘束され、労働時間を管理されていた者は管理監督者ではないとされた判決(橘屋事件、大阪地裁昭40.5.22)などがある。
不払い残業の事例 連合本部HP
→ https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/fubarai/qa.html